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The Specimens Of Walbaum in Today

December, 2018 / MAU VCD / Typographic Composition Class

SchoolEditrial

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武蔵野美術大学 視覚伝達デザイン学科 2群の選択授業、「タイポグラフィック・コンポジション」の作品です。19世紀初頭に作られたWalbaumを大幅に拡張した新しいMonotypeのWalbaumの見本帳を制作しました。Walbaumの特徴をまとめ、ITC Bodoniと比較しながら日本語と英語の2ヶ国語で組版を行いました。

本講義では、学生が各々欧文・和文どちらかの書体を一つ選び、その書体についての見本帳を制作します。見本帳のスタイルは自由で、私のように特徴をまとめたものやアウトラインのみに着目したもの、物語を組んだものなど様々です。課題は第一課題、第二課題、第三課題、最終課題と用意されており、本見本帳は最終課題です。最初はドットスタディという直径5mmのドットを物差しなどを使わず等間隔に並べたり、グラデーションを作り、視感覚を鍛えます。組版の面でも、和文と欧文を組み合わせ同一の濃さで組んだり、16ページの小見本帳を制作するなど、段階を踏んで組版の考え方と感覚を鍛えていきました。

見本帳のウェイト・スタイル一覧

Walbaumは19世紀初頭にJustus Erich Walbaumが制作したDidoneスタイルの書体です。しかしながら、ワルバウムの息子の死、ナポレオン戦争といった不運が重なり、BodoniやDidotといった書体と比べ(ナンサッチ・プレスで使われた一時期を除いて)日の目を見ない書体でした。しかし、WalbaumはBodoniやDidotに劣らない良い書体であり、可読性に配慮された温かさを持っており、2018年の初めにMonotypeによって大幅に拡張されました。

見本帳は最初、金属活字時代でなく現代においてどのような見本帳が望ましいのかを考え、広告、ブランディング、Webといった媒体でどのように有効に用いることができるかを例示しようと考え、前半を書体の特徴解説、後半を使用例という構成にしようと考えていましたが、スケジュールにより後半の制作をとりやめ、特徴の解説に時間を割きました。書体の特徴の解説は収録されているグリフから、ITC Bodoniと比較してアセンダー・ディセンダー、カウンター・スペーシングなどの各要素とそこから感じる印象を分析しました。体裁としては雑誌を意識した構成とし、無線綴じで製本を行いました。

Walbaum見本帳の扉

しかしながら、全体のレイアウト構成や見出しのレベル・スタイルといったブックデザインにおける要素のデザインに時間を取られ、また「ぎんさい」のタイプフェイスデザインとの兼ね合いもあり、内容として最終的に翻訳が不十分であったり、レイアウトに関しても改善点が残る出来になってしまったことは否めません。連綿したページ物のデザイン構成は経験が乏しいこともあり、見開き単位のデザインになってしまったという反省点もあるので、今後のエディトリアルデザインに生かしたいと思います。