h

A History and Typeface of William Addison Dwiggins

September, 2018 / MAU VCD / Writing Space Design Class

SchoolWebsiteTypeface

Go Site

武蔵野美術大学 視覚伝達デザイン学科3年の講義「ライティングスペースデザイン」の作品です。 20世紀前半にアメリカで活躍したグラフィックデザイナー、William Addison Dwiggins の生涯をまとめ、彼が手がけた新聞の見出し用書体のスタディ復刻・拡張をしました。

本講義では学生が自由にテーマを決めます。美大生が考えるテーマは実に多様で、「城の石垣の構造について」だとか「ハンガリーの刺繍について」、「自分が自転車に乗れるようになるまで」…などなど、日常の気付きやちょっとした興味からテーマを発見する人もいます。 私はかねてから愛用していた書体 “Metro” のデザイナーでもあり、イラストレーションや書籍デザインなど様々な方面でその才能を発揮したDwigginsをテーマとしました。

クリックで拡大

もとより書体デザイナーの他の職業に興味があり、本講義でも Dwiggins をはじめとしてEric Gill, Rudolf Koch, Jan van Krimpenといった20世紀初頭の書体デザイナーを調べ、その比較年表を作ろうかと思案していました。 ところが先生からデザイナーを絞り、深く追求したほうが良いのではないか、という提言を受け、デザイナーでもあり彫刻家でもあったGillとDwigginsの2名に絞り込み、最終的にはブックデザインからマリオネットづくりまでしていたDwigginsのみにスポットを当てることにしました。 上記2つの年表は調査中、GillとDwiggins、MonotypeとLinotypeの年表をまとめたものです(クリックで拡大できます)。

最終的な展示物として、 彼の生涯とそのスタディを復刻した書体“Omen 23”をWebサイトとしてまとめました。この書体は彼が生きていた頃に使われていたらどのように見えるのかを詳細に検証するため、当時の活版印刷を真似て亜鉛凸版を利用して印刷しています。

生涯の面では、過去の様々な記事や2017年に出版された“William Addison Dwiggins A Life in Design”をもとに、彼がどのように成長し、いかにしてアメリカを代表するグラフィックデザイナーの一人になったのかをまとめたものとしています。彼は日本での知名度はさほど高くなく、文献も主に英語中心となるため、翻訳作業のウェイトは大きいのですが、結果的には英語の勉強にもなりました。

スタディ復刻の面では、彼がDaily Jeffersonian紙のためにドローイングをおこなったコンデンスドスラブ書体(やや縦長なシルエットと金属を削り出したような力強いシルエットを特徴とする)から派生した様々なスタディを分析しています。 とりわけ、最後のスタディであるStudy No. 23 “Omen”の4文字をアルファベット52文字へと拡張し、2つのスタイルでフォント化しました。

Webサイトではこの書体の特徴を解説しつつ、展示場では来場者がテストタイプもできるようにしています。 Dwiggins が生み出した書体の魅力を情報としてただ列挙するだけでなく、来場者自らの手で紡ぎ出せるという体験までを求めた展示としました。